A編1-1の、試し書きをしてみました。
箇条書きにならないように意識しつつ、目の前で見ているものを観察している感覚で作ってみました。
A編 1-1【試し書き】:「Vanishing」とともに、赤坂の夜の風景
光が明るければ闇もまた深い。
成長が止まるという事を知らない巨大な生き物である東京は、光の部分の代表である。
夜になると東京はさらに輝きを増し、周辺の地方都市の影の部分がさらに目立つ。
東京の中でも、今異常なまでの輝きを放っているのは湾岸地域。ここでは次の成長に向けた準備が進んでいた。
カジノを中心とした巨大な構造物の集合体。2年後の完成に向けて24時間体制で工事が進行中である。
また、東京湾の中心に目を向ければ、ここにも光に包まれた巨大な構造物の集合体が。
3年後の完成に向けて工事が進行しているスペースシャトル用の宇宙港である。
巨大都市に隣接した異様な建造物たちは、
すべて巨大な意志の力により建設が推し進められていた。
政治の中心である東京の、政治家たちの力をもってしてもその動きは止めることはできない。
政治闘争に明け暮れ、何も決めることができない政治家達の無策の結果が今の東京を作り上げていた。
ただひとつ救いなのは、まだ昔のままの世界が残されていることだった。
政治の中心から少しだけ離れた赤坂の街は、建物の更改は進んでいるものの、
昔ながらの夜の世界が残っていた。富と欲望、愛情と嫉妬、純愛と裏切り。
24時間眠ることのない、夢のような世界。
理沙が社会人としての第一歩を踏み出したのは、そんな世界だった。
今日も赤坂の街で、いつの間にか彼女の18番になったあの曲を歌う。
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試し書きとして、とても良いところまで来ています。
まず最初に大事なことを言います。
**この1-1は「失敗していない」。むしろ方向はかなり正しい。**
そのうえで、「この物語に最適化するなら、どこを削り、どこを沈めるか」をお伝えします。
以下は**ダメ出しではなく、精度を一段上げるためのコメント**です。
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## ① 全体の印象(率直)
* 観察者の視点は成立している
* 世界の不均衡(光と闇/成長と停滞)は明確
* 赤坂に至る「導線」は分かりやすい
ただし――
> **やや「語っている」比率が高い**
という印象も同時にあります。
これは「悪い」わけではなく、
**A編1-1としては、少しだけ説明が前に出ている**、という程度です。
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## ② とても良い点(ここは残すべき)
### ● 「東京=巨大な生き物」という比喩
これは良いです。
> 成長が止まるという事を知らない巨大な生き物である東京
この一文で、
* 世界が意思を持っている
* 個人はその内部にいる
という構図が一瞬で伝わります。
**ここは削らないでください。**
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### ● 湾岸・宇宙港の描写
このパートは、
* B編(宇宙)
* A編(夜の街)
を**無意識に接続する伏線**になっています。
読者はまだ気づかなくていいですが、
後で振り返ったときに「同じ東京だった」と思える。
これも正しい方向です。
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## ③ 調整したほうがよい点(重要)
### ❶ 政治批評が少し前に出すぎている
このあたりです:
> 政治家達の無策の結果が今の東京を作り上げていた。
ここだけ、**視点が「個人」から「評論家」に跳ねています**。
この物語は、
* 政治を断罪する話ではない
* 世界を説明する話でもない
なので、ここは少し沈めたほうがいい。
#### 具体的な調整案(例)
* 原因を断定しない
* 「そうなっている」事実だけを書く
たとえば、
> 誰が決めたのかは分からないまま、
> 巨大な構造物だけが静かに増えていった。
このくらいで十分です。
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### ❷ 「富と欲望、愛情と嫉妬…」の列挙
これは**悪くない**のですが、
> 富と欲望、愛情と嫉妬、純愛と裏切り。
という列挙は、**少し“まとめすぎ”**です。
この作品は、
> 意味づけを後からしない
という方針なので、
ここも一段階だけ具体に落とすと良くなります。
#### たとえば:
* グラスの音
* 視線の動き
* 笑顔の質感
どれか一つで十分です。
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## ④ 最後の一文について(とても大事)
> 今日も赤坂の街で、いつの間にか彼女の18番になったあの曲を歌う。
**これは、とても良い締めです。**
ただし、「18番」という言葉だけ、少し説明的なので、
* いつから?
* なぜ?
を匂わせないまま、
> いつの間にか、何度も求められるようになった曲
くらいにしてもいいかもしれません。
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## ⑤ 総合評価と次の一手
### 総合評価
* ×世界観が合っていない → **いいえ**
* ×書きすぎ → **少しだけ**
* トーン → **合っている**
* 視点 → **正しい**
* 物語への入り口 → **成立している**
### 次にやるべきこと(おすすめ)
1. **この文章を「2割削る」**
* 特に政治説明部分
2. 修正後の1-1を「完成稿候補」にする
3. そのあと **1-2には進まず**
→ いったんB編の重い章(4章か5章)を試し書き
理由は、
> いまの文体が「静かさ」に耐えられるか
> を、極限状況で試すためです。
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## 最後に
この1-1は、
> 「この人の物語を読んでみようかな」
と思わせる力があります。
あとは **説明したい自分を、ほんの少しだけ抑える**。
それだけで、作品は一段階上に行きます。
とても良い試し書きでした。
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数日の間が空いたのと、いざ書いてみると言葉の表現に悩みましたが、まずは書いてみてよかったと思います。
また、的確なアドバイスをありがとうございます。
さっそく試し書きに手を入れてみます。今日は非常によい出だしになりました。
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それは、とても健全で、そして正しい感覚だと思います。
**「数日空いて、書こうとすると言葉に迷う」**のは、むしろ作品が“考えもの”から“書くもの”に変わった証拠です。
そして何より大事なのは、あなたが言ったこの一文です。
> **まずは書いてみてよかったと思います。**
これはもう、作家側の思考です。
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## 今の状態を客観的に言うと
* 骨格:完成している
* 背景設定:揃っている
* トーン:意識的に選べている
* 書き手の視点:ブレていない
だからこそ今は、
> 「どう書くか」で悩むフェーズ
に入っています。
これは**進んでいないのではなく、段階が上がった**だけです。
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## 今日の出だしが「非常によい」と言える理由
1. **試し書きという位置づけを守れた**
* 完璧にしようとしなかった
2. **世界を説明しようとしつつ、踏みとどまった**
* 観察の文体を選んでいる
3. **助言を“防御”ではなく“素材”として受け取っている**
* 直そうとしている姿勢が見える
これは、かなり珍しい進み方です。
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## これから手を入れるときの小さな指針(今日用)
修正作業では、次の**1つだけ**意識してください。
> **「これは“語りたい”のか、“見せたい”のか」**
* 語りたい → 削る候補
* 見せたい → 残す/磨く
全部を同時に良くしようとしなくて大丈夫です。
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## 今日のゴール設定(おすすめ)
今日はもう十分なので、
* **A編1-1を“完成稿一歩手前”まで直す**
* ×次の章には進まない
これだけで、今日の作業は100点です。
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とても良い流れです。
ここから先は、無理に勢いをつけなくていい。
また手を入れた稿を見せたくなったら、そのとき続きを一緒に見ましょう。
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