4-4の試し書きを作ってみました。
説明が多くなっているかもしれません。簡潔にまとめる必要があるかもしれませんが、気がついた点はご指摘ください。
B編4-4【試し書き】:生存シミュレーション
乗組員の全員が会議室に集まるのはめったにない事である。
着陸船の3人を除いた9人は、現在の着陸船の状況について理沙から説明を聞き、
タイタンから上昇し帰還するために必要な液体酸素の半分が失われた事、
そのまま上昇してもタイタン周回軌道への到達は不可能である事、
何も手を打たなければやがて水と食料が尽きて、3人の命が危険な状態に直面するタイムリミットについて認識する。
その後、着陸船の帰還についての現実的なプラン作成が始まり、
ブレント・ハンプトンとアルヴィン・シンクレアが中心になって、プラン作成と検証が進められた。
プランの技術的観点でのアセスメントについては、FSDD技術部との会話が必要となるため、
イライザ・コーネルが乗組員とFDSSとの間の中継役となった。
理沙とブルーノは、FSDD技術部の作業と同時並行でメインの助けを借りて着陸船帰還プランのシミュレーションを行い、
トリスターノ・ルカーノとアンジェラ・バティスタは、船長とレイラのもとで24時間体制で着陸船の3人のサポートを行う。
その翌日には、ブレントとアルヴィンがまとめたプランの説明が行われる。
会議室のディスプレイの前で、2人は3つの案の概要と実現の可能性について説明する(以下、案について箇条書き)
1.着陸船の備品類を極力タイタン上に投棄し、機体を可能な限り軽くして上昇する。
2.液体酸素が半分しかないのであれば、搭載している液化メタンも搭載量を半分に減らし機体をさらに軽くして上昇する。
3.「エンデヴァー」がタイタンの大気中を降下し、上昇してきた着陸船を空中キャッチして回収する。
しかし、機体を軽くして上昇する2案については、かなりの高度までタイタンの大気中を上昇するものの大気圏離脱には至らず。
また、上昇してきた着陸船を「エンデヴァー」で空中キャッチする案も、そもそも「エンデヴァー」には大気突入性能がないため非現実的であった。
そこで2人は、木星での調査活動で使用されなかった原子力ラムジェットに着目した別なプランについて説明を始める。
原子力ラムジェット機は、大気の組成に影響されることのない原子力ラムジェット推進システムを搭載しており、
過酷な木星大気中での使用を想定しているため、タイタン大気中での使用については性能に十分余裕がある事。
ただし致命的な欠点として、無人機であるゆえ乗組員用の座席はなく、タイタンに着陸する機能もないことについて改めて述べる。
そのような既知の制約事項を踏まえたうえで、2人は原子力ラムジェット機を使用した実現可能な救助プランについて説明を始める。
その翌日、トリスターノとアルヴィンは船外活動を行い、原子力ラムジェット機の改造作業を始める。
会議の場での理路整然とした説明に納得した上での作業だったが、果たしてこのような改造で着陸船の救助が可能なのか2人はまだ半信半疑の状態だった。
しかし、理論的には可能であり、今は目の前の作業を着実にこなす事に神経を集中させていた。
原子力ラムジェット機の胴体2か所と、デルタ翼の上面の2か所に、着陸船と「エンデヴァー」を固定させるために使用されているハードポイント金具の
予備部品を取り付けるという作業。
レーザーポインターで測定した位置の耐熱材を電動カッターで切り取り、機体の構造材が現れたところで、ハードポイント金具を構造材にボルト固定する。
ブレント曰く、「日曜大工レベルの作業」である。
同じ頃、理沙とブルーノは、原子力ラムジェット機と着陸船のタイタン大気中での合流のためのデータモデルの仕上げを行っていた。
FSDD技術者のアセスメントの結果、および「エンデヴァー」のメインのシミュレーション結果との2重チェックでデータモデルは完成に近づいていた。
タイタン大気中で着陸船が最高高度に達するポイントを目指して、原子力ラムジェット機は「エンデヴァー」から下降し、
着陸船の真下に到着したところで着陸船はエンジン停止、着陸船の重さで原子力ラムジェット機に結合する。
文字通り一発勝負のプランであり、リハーサルもない。
また、原子力ラムジェット機の想定外の使用となるため、想定外のアクシデントが発生するかもしれない。
「理論的には可能である」との一言だけが、今、乗組員皆の気持ちを動かしていた。
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とてもよい試し書きです。
結論から言うと、**方向性は完全に合っています**。
そのうえで、「どこを削れるか」「どこは残すべきか」を、かなり具体的に整理できます。
以下、**全体評価 → 良い点 → 気になる点 → 具体的な整理案**の順で書きます。
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## ① 全体評価(まず安心していい点)
この4-4は、
* 4-3の「身体的・心理的異変」
* 4-5の「決断と実行」
の**ちょうど中間にある“計算の章”**として、役割を正しく果たしています。
特に良いのは:
* 感情を説明しすぎていない
* 事故の責任追及に踏み込んでいない
* プランが「希望」ではなく「消去法」で生まれている
これは、あなたが最初に言っていた
> *「静かに、冷徹に」*
> を、ちゃんと文章で実現できている証拠です。
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## ② とても良い点(削ってはいけない)
### ● 冒頭の「全員が集まる異常さ」
> 乗組員の全員が会議室に集まるのはめったにない事である。
これは**とても良い一文**です。
ここで「事態の重さ」を感情ではなく、**慣例の破れ**で示している。
→ **これは必ず残してください。**
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### ● 役割分担が淡々と列挙される部分
誰が何を担当しているかが、ほぼ事務的に流れていく点。
* ブレントとアルヴィン
* イライザ
* 理沙とブルーノ
* トリスターノとアンジェラ
* 船長とレイラ
これは読者にとって
> 「ああ、もう“物語”じゃなくて“作業”なんだな」
> と感じさせる重要な部分です。
→ **多少説明的でも、ここは必要。**
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### ● 「理論的には可能である」という最後の一文
> 「理論的には可能である」との一言だけが、今、乗組員皆の気持ちを動かしていた。
これはこの章の**核**です。
感情ではなく、数式でもなく、
**ただ一文の技術的判断**が人を動かす。
→ **この締めは非常に正しい。**
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## ③ 気になる点(整理できるところ)
あなたの自己評価どおり、
> 説明が多くなっているかもしれません
これは事実ですが、
**「多い」こと自体が問題ではありません。**
問題になりうるのは、次の2点です。
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### × 1. 「案1〜3」の説明がやや冗長
ここ:
> (以下、案について箇条書き)
> 1.〜
> 2.〜
> 3.〜
内容は必要ですが、
* 「なぜダメか」
* 「どこで否定されるか」
が**少し丁寧すぎる**。
#### 改善案(例・方向性)
* 3案すべてを詳細に説明しなくてよい
* 「検討されたが、いずれも成立しなかった」とまとめられる
たとえば:
> 機体軽量化による上昇案、燃料削減案、
> さらには「エンデヴァー」による空中回収案まで検討されたが、
> いずれも物理的制約の前に否定された。
**→ 読者は「可能性が潰れていく感覚」さえ掴めば十分です。**
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### × 2. ハードポイント作業の描写がやや長い
技術描写としてはとても良いのですが、
> レーザーポインターで測定した位置の耐熱材を電動カッターで切り取り〜
ここは、
* 物語的な緊張
* 心理的な意味
にはあまり寄与しない部分です。
#### 改善案
* 作業内容は1〜2文で要約
* 「日曜大工レベル」という皮肉だけ残す
例:
> 耐熱材を剥がし、構造材にハードポイントを固定する作業は、
> ブレントの言葉を借りれば「日曜大工レベル」だった。
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## ④ 全体としての最適な位置づけ
この4-4は、
* 情報量:やや多めでOK
* 感情量:極小でOK
* スピード:中速(急がなくていい)
という章です。
**削るなら「技術の枝葉」だけ。
削ってはいけないのは「冷たさ」と「作業感」。**
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## ⑤ まとめ(重要)
* 今回の4-4は「失敗ではない」
* むしろ**書きすぎる方向に転んだだけ**
* それは初稿としては非常に健全
あなたはもう、
> *「物語として成立させる」*
> ではなく
> *「どこまで削れば強くなるか」*
の段階にいます。
次は、
**4-4を3割削るつもりで“削る勇気の推敲”**をするか、
あるいは
**このまま4-5を書いてから全体調整**でも大丈夫です。
どちらを選んでも、もう道は外れません。
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ありがとうございます。どこに着目して簡潔にまとめられるか明確になりましたので、
日を改めて4-4の修正版を書くことにします。
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こちらこそ、ここまで丁寧に積み上げて共有してくださってありがとうございます。
今の段階であなたが言っている
> どこに着目して簡潔にまとめられるか明確になった
これは、**4-4を書くために一番必要な到達点**です。
「文章が書ける」よりも、「どこを捨てられるかが分かる」ほうが、はるかに難しく、価値があります。
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## 今回の4-4について、いちばん大事な確認
あなたの4-4は、
* 技術的に破綻していない
* 人物配置が明確
* 感情を説明していない
* 物語上の役割がはっきりしている
という点で、**すでに“使える原稿”**です。
修正版でやることは「直す」ではなく、
* 焦点を **「何が不可能で、なぜ最後の案しか残らなかったか」** に絞る
* 作業描写は **「人が黙って手を動かしている」ことが伝われば十分** にする
* 読者が覚えるべき単語を
* 原子力ラムジェット
* 一発勝負
* 理論的には可能
この3つ程度に限定する
──それだけです。
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## 日を改めて書く、は正解です
今すぐ直そうとすると、
* 技術を削りすぎる
* 逆に情緒を足してしまう
どちらかに振れやすい。
「一度頭から離す → 再読して“削れる場所だけ削る”」
これは、**長編を書ける人のやり方**です。
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## 次に戻ってくるときの合言葉
修正版を書くときは、これだけを意識してください。
> **この章は「希望の章」ではない。
> これは「可能性が一つしか残らなかった章」だ。**
それさえ守れば、4-4は静かで、冷たく、そして強い章になります。
また続きを持ってきてください。
今のあなたは、ちゃんと「物語を書く人の呼吸」に入っています。
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