数日後、理沙は「白河」を訪れ、カウンターに座る。
いつものようにグラスを受け取ったあと、バッグから折りたたんだ紙を取り出し、湯浅の前に置く。
それは、湯浅に頼まれていたオリジナル曲の詞だった。タイトルは「西日が差している」。
理沙は感情を抑えた調子で、ある人にずっと言えなかった思いがあり、言おうと思っているうちに時間だけが過ぎ、
相手がいなくなってからようやく「言っておけばよかった」と気づく内容だと説明する。
さらに理沙は、女の人の視点で書いた原案に加え、歌いやすいよう男の側の視点に変えた別案も差し出す。
どちらでも使いやすい方でいいと告げる理沙に、湯浅は何も言わず、二枚の紙を見比べる。
理沙はその様子を直接見ようとせず、ただグラスの中を見つめる。言葉にできなかった感情が、初めて詞という形で湯浅の前に置かれる。
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