クリスマスの夜、理沙は仕事の合間を縫って店を抜け出し、湯浅たちが出演する小さなライブハウスへ向かう。
会場は熱と音に満ち、時間が経つにつれて人で埋まっていく。
理沙は少し後ろの位置からステージを見つめる。
三番目のバンドとして湯浅が登場し、最初の曲から観客を引き込み、会場の空気は徐々に一つにまとまっていく。
三曲目では、湯浅がギターを持たずに前へ出て、山下公園で見せたエアギターを披露する。
以前よりも無駄のない動きに観客の反応は高まり、理沙も視線を外せずに見つめ続ける。
曲が終わると、湯浅はマイクを取り、次にオリジナル曲を演奏すると告げる。
少し重いかもしれないが、ちゃんと届けばいいと話す湯浅の言葉を聞き、理沙は息を止める。
照明が変わり、イントロが流れた瞬間、理沙の中で音と言葉と時間がひとつに重なっていく。
|