月末のミーティングで、営業後の店内にはいつもより張りつめた空気が流れていた。
ママが売り上げ順位を読み上げていき、最後に「一位、彩名」と告げる。
拍手はすぐには起こらず、遅れて形だけの音がいくつか重なる。
彩名は表情を変えず、その場に立っていた。
隣にいた理沙は、何も言わずに彩名を見る。その目元にわずかな柔らかさがあり、彩名は小さくうなずくだけで応える。
ミーティングはそのまま翌月の方針や注意事項へ移り、やがて終わる。
控室に戻ったあとも、いつもの囁きや笑いはなく、周囲は彩名をあえて見ないようにしていた。
彩名はその空気から、自分が一位になったことの意味を静かに受け止める。
しかし、それは終わりではなく始まりにすぎなかった。数字は維持しなければ消え、次に落ちる可能性もある。
彩名は、ようやくその位置に立っただけだと理解しながら、すでに次に越えるべきものを見据えていた。
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