001_32_女帝と呼ばれる位置に立つ(4)【あらすじ】

ママは最後の一線には踏み込まず、口元をわずかに動かすだけで沈黙する。
その表情は、主導権が自分の手の中にあることを示すものだった。
静まり返ったVIPルームで、彩名は視線を外さず、逃げずにママを見返す。
そして「それは、誤解です」と低く揺れのない声で告げる。
彩名は、自分がママと誰かの関係に割り込もうとしているのではなく、ただ上を目指したいだけだと言い切る。
余計な説明も理由も並べず、その言葉だけを正面から置く。
ママはすぐには反応しないが、その目がわずかに揺れる。ほんの一瞬、感情のようなものが浮かび、すぐに戻るものの、最初の表情とは違っていた。
彩名もママも動かず、同じ距離で向かい合ったまま沈黙する。
言葉にはされないが、部屋の空気は確かに変わっていた。
彩名は、自分の野心を隠すのではなく、正面から差し出すことで、上に立つ者たちの世界へ一歩踏み込む。



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