では、A編3-4を書いてみました。
結末がどうなるかわかっているものの、あえてどうして転落の道を選んだのか、表現が難しかったです。
A編 3-4【試し書き】:執着の結果(阿久津)
フロア席のキャスト達を眺めている彩名をその後ろから眺めていた日々。
しかし、阿久津は視線の先の彩名の事は意識していなかった。
彩名からの指示で彼は恵梨香のもとへと向かい、彼女に次の指名客の指示をする。
恵梨香と視線を交わすほんの一瞬が、阿久津にとっては特別な時間になっていた。
いつからの事なのか、彼にもはっきりした記憶はない。
今までに酸いも甘いも含めて様々な経験をし、
時には人生の修羅場や命の危険に直面したこともあれば、恋愛や別れもあった。
そして、すべては割り切ることだというのが彼の信条になっていった。
「Shangri-la」のキャスト達のモチベーションを高めるための程よい距離感も習得した。
恵梨香は、当初彼にとっては特徴のないごく普通の女性に見えた。
夜の世界に足を踏み入れたのも、生活のためではなく単なる興味本位。
しかし、身に着いた教養から自然と醸し出される上品さが、彼女を夜の世界で輝かせることになった。
阿久津が気にしていたのは、彼女の輝いている姿ではなかった。
どちらかといえば、彼女の輝いていないときの姿に彼は徐々に引き込まれていった。
平常心をもって、どのキャストにも平等に接しようと心がけていても、
なぜか恵梨香の前ではそうではなかった。やがて恵梨香にはその気持ちを見透かされてしまう。
彩名にはいずれ知られてしまうだろうと思いつつも、
巨大なダムに開けられた小さなアリの穴のように、気持ちは徐々に大きくなってゆき、
恵梨香が彩名から決定的な一言を聞かされた日を境に、2人の間での水面下での行動が始まる。
そしてある日、巨大なダムは決壊した。
南米の小さな地方空港のロビーで待つ阿久津。
お互いに別々に行動し、偽名まで使って地球を半周してようやくたどり着いた地。
果たしてここは2人にとって安住の地となるのか。
もう元の生活には戻れない。
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これは……とても良いです。
静かに書いているのに、
ちゃんと“転落の重さ”がある。
そして何より良いのは、
**阿久津を単純な悪役にしていない**ことです。
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## まず、全体としてとても良い点
### ① 「なぜ転落したのか」を説明しすぎていない
> すべては割り切ることだというのが彼の信条になっていった。
ここで彼の生き方が提示される。
そのあと、
> 恵梨香の輝いていないときの姿に彼は徐々に引き込まれていった。
この一文が核心です。
「弱さ」に引かれた男。
これは非常に人間的で、
物語として説得力があります。
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### ② ダムの比喩は効いている
> 巨大なダムに開けられた小さなアリの穴
この比喩はやや文学的ですが、
この章だけは少しだけ文学的でいい。
A編はここが一つの“感情の山”なので、
比喩が少し強くなるのはむしろ自然です。
ただし、少しだけ締めるなら、
> 巨大なダムに開いた小さな穴のように、
> 気持ちはゆっくりと広がっていった。
くらいに抑えてもいいかもしれません。
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### ③ ラストが非常に良い
> 南米の小さな地方空港のロビーで待つ阿久津。
このカットの仕方が映画的で美しい。
場所をいきなり飛ばすのは正解です。
説明しないのがいい。
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## ひとつだけ、強化できる点
ここです。
> 果たしてここは2人にとって安住の地となるのか。
これは少し“語り手が未来を煽る”感じがあります。
A編は全体的に、
語り手が煽らない、断定しない、説明しない、
という美しさで進んできました。
なので、ここはもっと冷たくてもいい。
例えば:
> もう元の生活には戻れない。
> それだけは、阿久津にもわかっていた。
あるいは、
> もう元の生活には戻れない。
> それでも、後悔という言葉はまだ浮かばなかった。
このほうが、より静かで怖い。
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## そして、あなたが悩んでいた部分
> あえてどうして転落の道を選んだのか
答えは、もう書けています。
・割り切る男だった
・誰にも深入りしない男だった
・しかし「輝いていない恵梨香」に引き込まれた
つまりこれは「理性ではなく、弱さ」なんです。
弱さを選んだ。
だから転落は必然だった。
今の書き方は、その“必然性”をきちんと描けています。
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## 構造的に見ると
A編3章は今、完璧な対比になっています。
* 3-1 裏切り(外側から崩れる)
* 3-2 喪失(生きるための選択)
* 3-3 新しい野望(彩名)
* 3-4 執着による崩壊(阿久津)
「再生」と「堕落」が同時に描かれている。
これは非常に完成度が高い構造です。
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正直に言うと、
ここまで来るともう“習作”ではありません。
物語として十分成立し始めています。
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次は4章ですね。
4章はA編の“静かな核心”。
ここで理沙がどう変わるかが、
B編の理沙に繋がります。
焦らず、静かに。
今、とても良い流れの中にいます。
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ありがとうございます。とりあえず書いてみた事がよかったです。
アドバイスを頂いた点を修正して3-4はいったん終わりにします。次回は4章に進むことにします。
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それが一番いい判断だと思います。
**「とりあえず書いてみた」**
これが今回いちばん大きな前進です。
3-4はもう十分に成立しています。
あとは微調整のレベルです。今は先へ進む方が良い。
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そして今の流れで行くなら、4章はとても重要です。
### 4章の役割を整理すると
A編4章は、
* 3章で「崩れた世界」のあと
* 5章の「別れ」へ向かう前の
* 理沙の“内側が動く瞬間”
になります。
つまりここは
**外の事件ではなく、内側の火**を書く章。
あなたが以前言っていた通り、
> A編の一番重いところは静かに書く
この方針が一番効く章です。
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少しだけ視点の整理をしておくと:
4章は
* 彩名の再出発ではなく
* 阿久津の転落でもなく
* 「理沙がどこへ向かう人間なのか」
が決まる章です。
ここで理沙が
* 夜に残るのか
* 昼に戻るのか
* どちらでもない第三の道を見始めるのか
その“揺れ”を書くことになります。
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焦らずに。
3章を書き切った今、
あなたの筆はちゃんと人物の呼吸を掴んでいます。
4章は、事件を起こさなくていい。
火花だけでいい。
次回、楽しみにしています。
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A編 3-4【試し書き】:執着の結果(阿久津)※修正版
フロア席のキャスト達を眺めている彩名をその後ろから眺めていた日々。
しかし、阿久津は視線の先の彩名の事は意識していなかった。
彩名からの指示で彼は恵梨香のもとへと向かい、彼女に次の指名客の指示をする。
恵梨香と視線を交わすほんの一瞬が、阿久津にとっては特別な時間になっていた。
いつからの事なのか、彼にもはっきりした記憶はない。
今までに酸いも甘いも含めて様々な経験をし、
時には人生の修羅場や命の危険に直面したこともあれば、恋愛や別れもあった。
そして、すべては割り切ることだというのが彼の信条になっていった。
「Shangri-la」のキャスト達のモチベーションを高めるための程よい距離感も習得した。
恵梨香は、当初彼にとっては特徴のないごく普通の女性に見えた。
夜の世界に足を踏み入れたのも、生活のためではなく単なる興味本位。
しかし、身に着いた教養から自然と醸し出される上品さが、彼女を夜の世界で輝かせることになった。
阿久津が気にしていたのは、彼女の輝いている姿ではなかった。
どちらかといえば、彼女の輝いていないときの姿に彼は徐々に引き込まれていった。
平常心をもって、どのキャストにも平等に接しようと心がけていても、
なぜか恵梨香の前ではそうではなかった。やがて恵梨香にはその気持ちを見透かされてしまう。
彩名にはいずれ知られてしまうだろうと思いつつも、
巨大なダムに開いた小さな穴のように、気持ちはゆっくりと広がっていった。
恵梨香が彩名から決定的な一言を聞かされた日を境に、2人の間での水面下での行動が始まる。
そしてある日、巨大なダムは決壊した。
南米の小さな地方空港のロビーで待つ阿久津。
お互いに別々に行動し、偽名まで使って地球を半周してようやくたどり着いた地。
もう元の生活には戻れない。
それでも、後悔という言葉はまだ浮かばなかった。
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