では、引き続きA編4-1を書いてみました。
少々長くなってしまったのでわかりやすいように段落分けしました。
ここで述べたい主な部分は、段落6,7のみですが、これだけだとタイトルと内容を比較して説明が不足するので、
長い段落1~5の前置きがあります。
これを根拠にして、見直しの際にこの1つの文をどのように複数の文に分割/整理するか、考えたいと思います。
A編 4-1【試し書き】:打ち明けられない悩み
1.バー「白河」での理沙。湯浅に「Castel」に移ったことを話す:
「Castel」に移ってから1か月ほどの間は、接客をするだけで精一杯の状態。
前の店でどれだけ実績を上げていたとしても、店を移ればその実績はリセットされて新人扱い。
ベテランキャストのヘルプから始まり、客とのつながりを一から構築していくしかない。
「Shangri-la」の客に営業をかけても、赤坂から遠い「Castel」に今まで通りに通ってくれる客はおそらくいない。
久しぶりに「白河」に顔を出した理沙。
深夜の山下公園でエアギターを披露している姿を目撃したあの日から、何度か「白河」に通う事はあったが、
二人の間の会話は、その日を境に一気に変わった。
カウンター越しに湯浅と会話することが、「白河」に通う目的に変わってゆき、
「Shangri-la」で歌う理沙の姿を、いつか見てみたいと湯浅は盛り上がっていた。
その数日後、「Shangri-la」は閉店してしまったが。
久しぶりに「白河」に顔を出した理沙は、湯浅と会話が盛り上がることもなく、
「Shangri-la」が閉店して、「Castel」に移籍するまでの経緯を淡々と語る。
2.「Castel」での理沙。なじみの社長が店にやってくる。そこへ湯浅も現れる:
数週間後、いつものようにベテランキャストのヘルプに振り回されていた理沙に突然に指名が入る。
ようやく入った指名に胸躍らせて席につくと、そこには「Shangri-la」在籍時に足しげく通ってくれたあの若社長が。
なつかしさと安心感からか、ふと目に熱いものがこみ上げてくる。
そして、せきを切ったように「Shangri-la」閉店から今までの理沙の苦労話が始まる。
苦労話がとりあえず終わり、離れた席に座っている彩名も指名して若社長との3人での和やかな会話が始まる。
そしてそのままのなりゆきで若社長は「Vanishing」をリクエストした。
しばらく歌っていないのと、「Castel」では自ら歌おうとするキャストが少ないので、一人で浮いてしまうのではないかと理沙は少し戸惑ったが、
若社長との再会記念にと歌うことにした。
ステージへと向かう理沙、すると入口から入ってくる客の姿が。湯浅だった。
3.社長のリクエストで「Vanishing」を歌う理沙。遠くから見つめる湯浅の視線が気になる:
久しぶりに気分が高揚しているところで、突然の湯浅の来店に少し困惑する理沙。
「Vanishing」のイントロはすでに始まっていた。
出だしで少々声が震えてしまったが、以前の澄んだ声が徐々に戻ってきた。
客とキャストとの会話で少々騒々しい店内が、徐々に静かになってきた。
湯浅が5メートルほど離れた席で一人で座っているのが見えた。黒服と何かを話している。
彼は理沙の方を見て、こちらを指さしていた。
腕を組んで、ステージで歌っている理沙の事を静かにじっと見つめている湯浅。
時々彼の方に視線を向けつつ、久しぶりの「Vanishing」を歌い上げると、静かだった店内からは拍手喝采があがる。
4.湯浅とテーブルを共にする理沙。湯浅を前にしてなぜかしっくりしない気分の理沙:
若社長の席に戻ると、理沙のもとに黒服がやってきて、湯浅のテーブル席へのチェンジを指示される。
理沙は「白河」の湯浅が来店していることを彩名に耳打ちすると、彼女は驚いた表情。
彩名もまた湯浅の座っている席に行き、ほんの少しの間彩名も湯浅との再会を喜んだ。
そのあとは、理沙と湯浅の二人だけのテーブル席。
しかし、「Vanishing」を歌い久しぶりの高揚した気分はどこにいってしまったのか、湯浅を前にして理沙はなぜか気分が盛り上がらない。
湯浅もまた同じだった。「Castel」の雰囲気はどうだとか、装飾や酒の銘柄がどうだとかいった話題しか出てこない。
結局のところ彼とは1時間ほどそんな淡々とした会話しか続かず、理沙の歌う「Vanishing」の感想についてはひとことふたこと程度。
また近いうちに「白河」で会う約束をして別れる二人。
5.女帝ママとそりが合わない彩名。営業終了後VIPルームで対峙する二人:
やがて理沙も彩名も徐々に実績をのばし、他のキャストとも遜色ない売り上げを上げるようになると、
店のママからなにかと目をつけられるようになってくる。
目立った存在になり、ママから注目されているのだと日々身の引き締まる思いの理沙。
しかし、彩名についてはママから事あるごとに細かい事を注意されていた。
接客の場での客に対する仕草や、ちょっとした言葉使い。
一日の営業が終わったあとの、ママからの訓示の場での彩名に対する個人攻撃的な指摘には、
理沙もそれはやりすぎだろうと思えるほどだった。
そして、彩名と自分自身に向けられる他のキャスト達からの冷たい視線、陰口。
彩名が他のキャストと喧嘩になりそうになったときには、理沙が仲裁に入ったこともあった。
ダメ出しは、営業終了後に彩名がママから呼び出されて二人だけでVIPルームに入った時の事。
VIPルームから出てきた彩名は、今まで見たことがないほどに憔悴していた。
そして、固く握りしめられた彼女の拳。
6.生活を立て直し理沙の自宅を出てゆく前夜、彩名からの気になる一言:
彩名が理沙の自宅で居候生活を始めて1年後のある日。
彼女はようやく住まいが見つかったので、再び一人で生活すると理沙に言った。
理沙の自宅を出てゆく前日、
荷物のとりまとめも終わり、あとは翌朝に引っ越し業者が荷物を運ぶのを待つだけだった。
生活再建と引っ越しのお祝いにと、自宅でささやかなパーティーをして2人だけの美味しい酒を飲んだその夜、
彩名から、つい数日前に「Shangri-la」の元オーナーと久しぶりに会った時の話を聞かされる。
彩名は阿久津と恵梨香のその後の消息についての元オーナーからの話に触れる。
意味深な笑みを浮かべている彩名に、理沙は阿久津と恵梨香がどうなったのかおそるおそる尋ねると、
彩名はただ一言、「消されたよ」
翌日、意気揚々と理沙の家を出てゆく彩名。
理沙は彼女の笑顔に、もうこれで吹っ切れたという気持ちとともに、怨念を晴らした爽やかさを感じ取る。
7.「白河」で一人静かに飲んでいる理沙。湯浅からの何気ないひとことにハッと我に返る:
夜の仕事が終わり、「白河」で一人静かに飲む理沙。
店での極度の緊張状態から解放され、くつろげるのは相変わらずここしかない。
カウンター席の少し離れた場所で、湯浅はいつものように控えめにその場にいる。
しかし、物憂げな理沙の表情が気になるのか、そっと近寄り湯浅は、、
「店で歌うときの、あの生き生きした姿はどこにいったのかな」と一言。
理沙は視線を上げて湯浅の事を見つめる。
しばらくの間お互いに無言だったが、彼からのその一言に理沙は何かに気づく。
理沙は湯浅の笑顔をしっかりと見つめたまま。
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これは、とても良い章です。
長いですが、構造は崩れていません。
むしろ、**「長い前置きがあるからこそ、6・7が刺さる」**構造になっています。
あなたの自己分析は正しいです。
段落6・7が核心で、1〜5はそのための圧縮された助走。
まず全体を整理してみましょう。
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# ■ この4-1の本質
この章の本当のテーマは、
> 理沙は何を失い、何をまだ失っていないのか
です。
6で「彩名が吹っ切れた」
7で「理沙はまだ吹っ切れていない」
この対比がとても美しい。
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# ■ 段落1〜5について
あなたが気にしている通り、
1〜5は少し“情報が多い”。
でも、削るべきかというと、今はまだ削らなくていい。
理由は:
* 「Castel」での違和感
* 湯浅とのズレ
* 女帝との軋轢
* 彩名の怨念
これらが全部積み重なって、
> 「店で歌うときの、あの生き生きした姿はどこにいったのかな」
が効いているからです。
もし1〜5を極端に削ると、7が軽くなる。
なので方向性としては「削除」ではなく、
**再配置・圧縮**です。
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# ■ 6の評価(非常に強い)
> 「消されたよ」
ここ、強いです。
余計な説明がないのが最高です。
しかも彩名が
* 怨念を晴らした爽やかさ
をまとっている。
これは怖い。
非常に良いです。
一点だけ。
> 理沙は彼女の笑顔に、もうこれで吹っ切れたという気持ちとともに、怨念を晴らした爽やかさを感じ取る。
ここは少し説明的。
例えば:
> 理沙には、その笑顔がどこか軽く見えた。
くらいでも十分伝わります。
今は少し言い切りすぎています。
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# ■ 7は、この章の本当の核
ここがとても良い。
湯浅の台詞:
> 「店で歌うときの、あの生き生きした姿はどこにいったのかな」
これはこの物語の中でも重要な台詞です。
なぜなら、
* 彩名は怨念で前に進む
* 理沙は“生き生きしていた自分”を失いかけている
という対比を一瞬で示している。
ここ、削らないでください。
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# ■ ひとつだけ、構造的な提案
今の4-1は、
1〜5:出来事の羅列
6:衝撃
7:内面の揺れ
になっています。
もし整理するなら、
* 1と2を圧縮
* 3と4を合体
* 5は少し削る
* 6はそのまま
* 7はやや余白を増やす
という方向です。
でも今はやらなくていい。
A編を書き切ってからで十分。
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# ■ 一番大事なこと
この章であなたは、
彩名を“復讐で前に進む人”にし
理沙を“まだ迷っている人”にしました。
これがA編とB編を繋ぐ橋になります。
B編の理沙は、
この「ハッとする瞬間」の延長線上にいる。
だから7はとても重要。
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最後の一文。
> 理沙は湯浅の笑顔をしっかりと見つめたまま。
ここ、いいです。
余韻がある。
できればもう一行、
* 言葉にしない
* 決意もしない
* ただ視線だけで終わる
くらいが理想です。
例えば:
> 理沙は湯浅の笑顔を見つめたまま、何も答えなかった。
くらい。
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まとめると:
* 長いけれど構造は正しい
* 6と7はとても強い
* 説明を少し削るとさらに鋭くなる
でも今は修正しなくていい。
あなたは今、
**物語の深い層に入っています。**
次に進むなら4-2。
ここから理沙の“方向”が決まります。
静かに、でも確実に。
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ありがとうございます。とりあえずは私の狙っていたところが考えが共有できたのでよかったです。
加筆修正が必要な個所は見直しで対応することとして、4-2に進むことにします。
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それがいちばん良い判断です。
いまの段階でいちばん大事なのは、
**「物語の流れを止めないこと」**
細部の整形はあとでいくらでもできます。
でも今の温度、今の呼吸は今しか書けません。
そして何より――
あなたの狙いが明確に言語化できている時点で、もう迷子ではない。
4-1は、
* 彩名=吹っ切れた人
* 理沙=まだ揺れている人
という対比をきちんと置けました。
4-2は、その揺れが「選択」に変わる章になります。
ここで大きな事件は不要です。
むしろ小さいほうがいい。
* 一言
* ひとつの視線
* ひとつの決断
* ひとつの拒否
その程度で十分。
あなたの今の書き方は、
「静かな決断」を描くのにとても向いています。
焦らず、淡々と。
4-2、楽しみにしています。
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