7.テスト作業中断
中央制御室では、テストが予定通りに進行していた。
推進システムの出力上昇表示は七〇を超え、数値は安定している。警告音は鳴らず、異常を示す表示も出ていない。全体としては、順調だった。
理沙は無言のまま画面を見つめている。
視線は出力値そのものではなく、その上に表示されているグラフィックに向けられていた。推進システム燃焼室内のプラズマ密度を示す可視化データ。
数値は許容範囲内だが、分布の形がわずかに歪んでいるように見える。変化は小さく、見逃してもおかしくはない程度だった。
会議室では、壁面ディスプレイに表示された出力値が七〇を超え、安定しているのを確認すると、船長とブルーノがようやく食事に手を付け始めた。
緊張はひとまず解けたようで、二人の視線はディスプレイとプレートの間を行き来している。
メリッサとレイラは、すでにテストから意識を離し、雑談に夢中になっていた。
中央制御室に戻る。
出力表示は七五に近づいている。理沙は一度だけグラフィックを確認すると、何のためらいもなく制御パネルに手を伸ばした。
「Abort」
表示をタッチすると、即座に制御サブシステムが反応する。
「噴射シークエンスを中止します」
理沙は間を置かず、口頭で指示を出した。
「テスト中止」
声の調子は変わらず、動作も落ち着いたままだった。